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奨学金延滞者の過半数が返還義務を借りる前に認識していないという事実

最近偶然に見つけて驚いたデータがあります。日本においておそらく最も大規模な奨学金事業を行っている日本学生支援機構の調査データです。

平成26年度奨学金の返還者に関する属性調査結果 - JASSO

この中には、「奨学金の返還義務を知った時期」という質問項目があります。この項目の回答に、無延滞者と延滞者の間で大きな違いがあるのです。無延滞者は、90.3%が申し込み前に返還義務を認識しているのに対して、延滞者はたったの49.5%しか申し込み前に返還義務を認識していないのです。さらには、督促を受けて初めて返還義務を認識した人が延滞者の9.8%もいるのです。

周りに日本学生支援機構奨学金を借りている人がいる人であればわかると思いますが、奨学金の返還義務があることは耳が痛くなるほどに聞かされます。手続きの際にも書類にはっきりと書いてありますし、毎年の継続願の提出の際にも必ず返還義務の確認があり、「返還義務を認識している」と回答しないと奨学金の借入を継続できないようになっています。また、学校を卒業する際にも書類やビデオなどを使って、返還義務について繰り返し聞かされます。

書き方が良くないかもしれませんが、延滞者の中には「奨学金は借り物であり、借りたお金は返さなければならない」という認識がない人が多いのではないでしょうか。

「諸外国では奨学金は返還義務がないものが多いのに、日本では返さなければならないのがおかしい!」という指摘はもっともです*1。しかし、現実として日本学生支援機構奨学金は貸与型です。ですから、「数百万単位のお金を借りていて、必ず返さなければならない」という認識をきちんと持つことが必要だろうと思います。もちろん、日本学生支援機構も鬼ではありませんから、所得が少なく返還が困難である人に対しては、返還計画の見直しや減免といった対策も用意しています。「どうしても厳しいので自分のペースで返済したい」という人間に対して、「NO」と突っぱねることはないわけです。

思えば、カーローンや携帯電話の分割払い、クレジットカードなどの身近な存在も、はっきりと「お金を借りている」という形ではないものの、「お金を借りている」ことに変わりはありません。「借りたものはきちんと期日に返さなければならない。きちんと期日に返すことで社会的な信用が作られる」ということを、もっと教育の場で伝えていく必要があるのでは、と思います。

*1:私もおかしいと思います